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映画を見た記録です。映画評ではなく、個人的な感想。
ネタバレは気にせずに書いていますので、未見の方はご注意ください。

『ビッグ・アイズ』


映画『ビッグ・アイズ』公式サイト - ティム・バートン監督作品 2015.1 ROADSHOW

 

ティム・バートン最新作をシネコンで見てきた。

といっても、いちばん小さいスクリーンで、平日の夜だったので客もヒトケタ。それほど話題になりそうな要素もないので、こんなところでしょう。

まず眼に入るのが、隅から隅までコントロールされた色の美しさ。若干平板で書割っぽく見えるのも、物語の世界らしくてよい。

また、サンフランシスコやハワイの光に満ちた屋外の景色に対して、カーテンを締めきった薄暗いアトリエのシーンがはさまれ、メリハリもきいていた。

舞台は1960年代で、女性の立場が弱かったことに繰り返し言及される。

懺悔にいって、司祭から夫の立場を理解するように、って諭されるシーンなんて、思わずため息をつきたくなる。宗教家も別に弱いものの味方じゃなくて、社会通念に従っているだけ、というのがあからさまに見える。

正直、こういう「弱い」ヒロインは好きじゃない。勇気を出して真実を公表したきっかけが、エホバの証人に入信したから、というのは、いかにもありそうでいやんな感じ。実話が元なので、このへんも実際のエピソード通りなのかもしれない。

連れは「娘がいてよかったね」と言っていたが、愛する子供の存在が彼女を支えたっていうのは、ちょっと違うような。

厳しいことを言うようだが、彼女が夫にひきずられて共犯者になったから、夫の人生もまためちゃくちゃになってしまったのだとも言える。世の中みんなにバレて、それでも「自分が描いた」と言い張り、でも、新作はひとつも書けない。金がないことなんて問題じゃないような荒涼とした晩年だ。自業自得、といえばそれまでなんだけど。

セクハラ裁判で、合意かどうかが争われ、一見合意の上で性行為を行ったように見えても、実は女性の側が立場が悪くなることを恐れて自分の意志を出せなかった、として男性敗訴というのと似ている。

夫を演じたクリストフ・ヴァルツは、最初からいかがわしく、軽薄で、醜い表情をこれでもか、と見せつけてくる。裁判の場面では、もうイッちゃってる状態。映画の最後に出てきたご本人の写真を見ると、もう少し人好きのする雰囲気だ。

人前では好人物で営業の手腕もあるが、妻の前でだけは、冷酷な暴君っていうほうがリアリティありそう。