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映画を見た記録です。映画評ではなく、個人的な感想。
ネタバレは気にせずに書いていますので、未見の方はご注意ください。

『パリ3区の遺産相続人』

映画

souzokunin-movie.com

劇場にて。

中身についてはほとんど知らずに、マギー・スミスケヴィン・クラインという名前だけ見て、そう悪くもないだろうと思って出かけていった。2時間足らずだし、てっきり軽いハートウォーミングコメディ(変な言葉だ)かと思い込んで。

確かに、前半はその通り。くすっと笑えるところもちょくちょくあり、でも例によってお客が一桁だったので、わたしが笑ってもほかにどこからも笑い声が聞こえず、かなーり寂しかったのであるが。

しかしこれが後半になると、えぐっ、きもっ、という内容になっていく。

前半コメディで後半は悲恋に大泣きになる韓国ドラマみたいである。

長年浮気を続けていて、双方の配偶者だけじゃなく子供までぼろぼろに傷つけているのに、「自分たちだけの秘密で、まわりは誰も知らなかった」「(浮気相手の配偶者は)気づいてたけど認めていた」としれっと言ってのける老女の邪悪さよ。

初対面のときに、老女が自分の名前を意味ありげに発音するのだが、後になって、主人公の父親が、浮気相手だった自分の名前にちなんで主人公の名前をつけたのだとネタばらし。初恋の人の名前を自分の子供につける、とかなら、まだかわいい話だが、現在進行形の恋人の名前を子供につけるって・・・おそろしい神経である。

とくにぞっとしたのが、主人公と老女の娘が10歳くらいの子供のころ、ふたりで並んで撮った写真がある、というくだり。主人公の父親は、浮気しにニューヨークからパリに行くのに、わざわざ子供を連れて行き、浮気相手の娘と自分の息子を並べて写真を撮ったのだ。

主人公はその写真を撮ったことすら覚えておらず、浮気相手もその娘もまったく顔を覚えていなかったのだが。子供の年齢を考えると、なんか気づいていて、真相にたどり着きたくないから記憶から消しちゃったんじゃないか、と思えるぐらいひどい話だ。

まあ、こういう手合は得てして性的に魅力があるから困ったものだ。

しかもラストが気持ち悪い。親同士が浮気していた相手と恋? 登場人物の感情の動きは丁寧に描かれているし、役者たちもみなすばらしい演技なので、別に不自然ではないのだが、正直言って生理的な嫌悪感を感じた。

いい役者ぞろいで、パリの風景も風情があり、脚本もよくできているのだが・・・テーマとしては実に後味が悪い。

赤ワインのせいじゃなくて、こういう性格だと長生きできるのかもね、というのが感想。わたしは長生きしたくもないし、主人公と老女の娘は、あまり長生きしそうもないタイプだな。