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映画を見た記録です。映画評ではなく、個人的な感想。
ネタバレは気にせずに書いていますので、未見の方はご注意ください。

トンイとチャングム

映画

トンイ (字幕版)をAmazonビデオ-プライム・ビデオで

 

『トンイ』60話、見終わった。

見たといっても、最後の10話くらいは、ストーリーがわかる程度にとばしとばしで。

 

歴史ものの常として、見る側は結果がわかっている。

張禧嬪は賜死するが、その息子は王位を継ぎ、短い治世を経て、トンイの息子が英祖となり長期政権を築く。

で、英祖の孫がその次の王、正祖(イ・サン)となるわけだが、まあそこまではいいだろう。

 

なので、ストーリーに対する興味としては、危機に次ぐ危機をどうやって乗り越えるのか。そして、その中で描き出される人間模様ということになる。

 

これがどうもつまらなかった。

 

危機を回避するには、トンイの明敏な頭脳と誠実な人柄が大きな武器となるわけだが、肝心のトンイがなぜかうすっぺらくて、人間的な魅力が感じられない。というか、張禧嬪に完全に食われている。

 

「いい人」というのはうざったいし、つまらないものだ。

悪役の方が人間的だし、共感できる。

 

それと、トンイを支える人々がいまいちだったのも大きいかな。

 

チョンス兄は、これまたとてもいい人に見えるのだが、もう少し危険な香りの美男子だったらよかった。というか、このドラマ、色男がぜんぜん出てこないではないか。

 

ソ・ヨンギもねぇ。チョン・ジニョンはごひいきの役者だから、あまり言いたくはないが、この役には年寄りすぎる。

 

コメディ担当の面々の演技も、おおげさすぎて白ける。

 

最後の方は、かわいいクム王子くらいしか見るところがなかった。

あまりに達者な子役というのは小面憎いものだが、この子は、賢くて無垢な役に実によくあっていた。

 

イ・ビョンフン監督といえば、『大長今』なわけだが、これは、わたしが最初に見た韓ドラである。いや、『茶母』とどちらかが先かはっきりしないが、KNTVで同時期にやっていたはずだ。

 

録画もしていたのだが、放送時間にもテレビの前に張り付いて見ていた。

最初に見た韓ドラがチャングムだったのは、実に幸福な出会いだった。

 

チャングムのキャラクターも、トンイによく似ていて、明るく賢く、無鉄砲で、あくまでも善意の人。

 

だが、それほど鼻につかなかったし、なにより、ストーリーにひきこまれた。

 

当時は、イ・ヨンエ以外は知っている役者もいなかったし、なにしろ初めて見るわけだから、ありがちなストーリーだということもわからない。すべてが新鮮だった。

 

そして、同じサクセスストーリーとはいっても、チャングムは職業的に成功するのだが、トンイは出世の道が後宮だったというところが、大きな違いだろう。

華麗に着飾り、高い位ではあっても、しょせん子を産む道具。

王の寵愛を最後まで失わないという設定だったから、そういう立場の苦しみというのは描かれていなかったが、だからこそ平板になってしまったのかもしれない。

王が若い正室を迎えても、平然としてるんだもんねぇ。

 

血統と権力が結びつくグロテスクさは、『ブーリン家の姉妹』が白眉だろうが、朝鮮王朝ものも、なかなか負けていない。

 

粛宗は、人間的な含羞のある人として描かれているが、自らの生殖が国事として管理されている人間が、女性に対してあんなふうにときめきをおぼえるものなのかしら。王の恋愛事情はあんまりピンと来ない。

 

と、さんざんくさしたのだが、ともかく60話ひっぱるだけの魅力はあるドラマだということは言える。

 

作品の側の問題じゃなくて、わたしが年取ってすれてしまったということなんだろうなぁ。