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映画を見た記録です。映画評ではなく、個人的な感想。
ネタバレは気にせずに書いていますので、未見の方はご注意ください。

『SING』

映画

sing-movie.jp↑これも予告編が自動で始まって音が出ます。

 

TOHOシネマズ宇都宮で。

もう春休みも終わったので、平日昼間はがらがら。

劇場で見るつもりはなかったんだけど、ミュージカルをたくさん見てる友人が3回劇場に足を運んだということで、それなら間違いないだろう、と見に行った。

宇都宮では吹替のみの上映なので、選択肢はない。

冒頭、キリンが劇場に入っていくシーンを見て「キリンが前に座ったらなにも見えないよね」などとしょうもないことを考える。

この世界では、家や車などのサイズは、動物の大きさに見合ったバリエーションがあるわけではなく、小さい動物はなんらかの方法で嵩上げし、大きな動物は車に乗ってもぎゅうぎゅう詰め、という具合である。

ネズミなどの小さい動物が虐げられているかというとそうではなく、大きなものは小さなものをいじめてはいけないという不文律があるらしく、それを逆手に取って、気の強いネズミが気弱なサルを脅したりしている。現実の人間社会より、弱肉強食じゃないらしい。

そして主人公のコアラも、長年勤めてくれているトカゲのおばあさんがどんなにとんちんかんな行動をしても、いつもやさしく礼儀正しく、バカにすることもない。

クマがネズミを追っかけまわすのも、ネズミがギャンブルでイカサマをしたという理由があるからで、力をかさにきているわけでもなく、このあたりの節度が気持ちいい。

というか、この殺伐とした実社会から見ると、いろいろ悩みはあっても、弱いものに対する配慮が機能している世界って、桃源郷に見えるわ。

映像も隅から隅までよくできているが、ミュージカル映画としても王道という感じ。歌のうまいキャストをそろえていて、聴き応えがある。

しかし、MISIA はさすが。クライマックスにもってくるのにふさわしい歌唱だ。

MISIAのCDも持っているのだが、あまりにも歌のうまいのをひけらかすようで、数曲流すとちょっと鼻につく。

でも、ストーリーがあって、しかも野暮な(?)ルックスのゾウさんだと、どんなに超絶技巧を振り回しても、嫌味がない。

キャラクターの中でとくにおもしろかったのは、子沢山のブタの夫婦。

妻は専業主婦で、25匹の子ブタの世話に追われ、夫は遅くまで仕事をし、疲れてよれよれになって帰ってくる。

この夫が、ものすごーく疲れた雰囲気で死んだような目をしているんだけど、妻へのねぎらいや感謝の言葉、料理をほめたりすることを忘れないのである。夜中に妻が話しかけても「うるさいな、寝てるんだ」などと突っ放すこともなく、眠そうにちゃんと返事をする。甘い雰囲気はかけらもなく、セリフも一本調子なのだけども、たいへんな生活の中で思いやりを忘れない夫。

エライ!と言いたいところだが、留守の間家事をするピタゴラスイッチ風自動装置がちゃんと動いている間は、妻がいないことにもろくに気づかない。生活のパートナーとしては妻を大切にしているが、相手への人間的な興味は失ってるんだよね。

そして、舞台の上で妻が家庭とはまったく違う、生き生きした別の顔を見せることで、熱烈な愛を取り戻すのである。

主要なキャラクターはみなそれぞれ背負っているものがあって、舞台の上でそれを昇華させていくんだけど、いちばんはじけてぐっと来たのが、このブタのお母さん。

ラストで、ちゃんとイカを回収したのがツボでした。